ABOUT日本拳法とは

Spirit日本拳法の精神性

拳法とは大生命力にふれるために
小さい自我を撃破する道である。 森 良之祐

人間の生命は、自然の生命と同じである。大宇宙の生命、それは天地自然、森羅万象一切に及んでいる。大宇宙の生命は、われわれの中にもある。ふつうわれわれは、小さい自我にとらわれて、このような大生命を理解し得ないが、この大生命力にめざめるとき、われらは素晴らしい力をうることができる。

Dojo Code道場訓

1.志を立てよ 自分を育てるのは自分である。
強く正しい人間になるためには自ら進んで自分を鍛えよう。
2.気を振るえ 人生はすべてに勝つことである。
誘惑に勝ち、苦難に勝ち、自分に打ち勝つ根性を養おう。
3.学に勉めよ 物を学ぶことは、人間として成長するためである。
学問、技能の習得を通じて道徳心を磨き、人格を高めよう。
4.稚心を去れ 他人に甘えたよる事なく、独立独行の精神を
尊重し、自分の足で歩ける人間になろう。
5.交友をえらべ 軽薄な人間は友とするに足りない。
勇気と根気和敬の心を備えた礼儀正しい人間を友として選ぼう。

道場訓に、幕末の英傑・橋本左内の「啓発録」の五項目を掲げています。先生は15歳のとき「一、稚心を去れ 二、気を振るえ 三、志を立てよ 四、学に勉めよ 五、交友を選べ」の五項目について見解を述べられ、これを自戒の文章として実践し、自らを最も秀れた人物に練り上げてゆかれたという。この凄まじい気魄に打たれて、わが道場訓としました。また、先生は安政の大獄によって、26歳で亡くなり、西郷南州先生は、後年「わしが接触した人物中最も秀れていたのは、先輩では藤田東湖先生、同輩では橋本左内殿であった。わしはこのお二人を最も尊敬した」と言っています。わが拳法を学ぶ諸君とともに、この精神を受け継ぎたい、という願いをこめています。

Creed吾等の信条

一、吾等は自力正道の精神を養うために拳法を学ぶ。
一、吾等は陽気報徳の心をもって(世のため人のためにつくし)世界平和に邁進する。
人に命令されない自主独立の境地を拓くには正しい道を歩む以外にない。
清く明るく直き心は日本の心である。
天地国土に感謝し、父母師友、衆生、物の恩に報ゆるよう真心をもって体当たりしよう。
国の名を流派名とする自覚をもち、斯道の生々発展を期したい。

About Nippon Kempo Kata日本拳法の形について

古流の柔術は主として、形中心に練習を行った。防具を着装して当身技の練習を始めた”日本拳法”以前は、当身技は非常に危険な技であった。従って、技術を錬磨するためには、真剣勝負のあらゆる場合を考え、それに適応するために、独特の形が案出された。

 この形によって流派ができ、一門が別れたといってもよい。だから防具着装による競技化は、各流派の持つ技術の壁を取り払うことになったともいうる。形は約束動作からできているために弊害も生まれがちである。

 しかしこの反面、逆に防具に頼る安易さから、精神、技術面において、粗雑になったことは否定することができない。また、競技大会は、ともすれば、試合に勝つことを目的とする傾向にもなる。この反省に立って、練習形の中にある。

(1) 作法、精神鍛錬性
(2) 正確な当身技の間合と、体さばきの運用
(3) 組打技への変化、技の理合と研究を行う

ことで形、防具いすれにも偏しない拳法の確立をめざして形を創った。
形の名称は大地の地。湧水や雨、雪などの水。太陽熱の火。そして空気の風。つまりこの”地・水・火・風”の4つの元素と、そのかたまりの”空”によって、宇宙大自然の運行がなされ、人間の身体・精神が育成され、人生が形どられているという、仏教の陰陽五行説から命名したものである。形の名称の持つ精神が、わが拳法に活かされることを願っている。

地=基本、原則。
水=応用、活機。
火=演習、訓練。
風=試合、実践。
空=超越、自在。

形と創造

形と創造とは、それだけを対比すると、相容れないもののように思われる。しかし、一見対極と思われる両者の調和の上に発展が存在することは、自然の大法則である。わが拳法の発生と技法の展開もこの中のみにある。
 形を完全に自分のものとし、それを突きぬけた境地に達したとき、はじめて名人芸になるということは、むかしからわが国の武術、伝統芸術の名人によって知らされている。
 ”形に入り、形を抜ける”ということは、否定もしくは無から出発する仏教思想、自己否定を通しての自己主張の精神を享けるもので、東洋の持つ心である。
 当身技においての「不安定の安定」理論もこの二律背反の思想の中から得たものである。

形の構成

形は攻撃と防御の技形についての基準を示すものであるから、相対した2人で行う。この場合、最初攻撃する者を”掛り”といい、これに対する者を”応え”呼称する。
 2人による形は、剣道の形式に準じて構成されている。また、基本技の練習と、技法の合理を習得するために、独り形がある。これに対して四人形は、スピードとタイミングの練習と、”静→動”に対して、”動→静”という変化を持たす新しい形式を採用した。

形の名称

  • 五陰破之形(ごおんぱのかた)
  • 四方励之形(しほうれいのかた)
  • 三矢撃之形(さんしげきのかた)
  • 拠実之形(きょじつのかた)
  • 木母之形(もくものかた)
  • 地撃之形(ちげきのかた)
  • 地勢之形(ちせいのかた)
  • 水撃之形(すいげきのかた)
  • 水勢之形(すいせいのかた)
  • 火撃之形(かげきのかた)
  • 火勢之形(かせいのかた)
  • 火神之形(かしんのかた)
  • 風勢之形(ふうせいのかた)
  • 風神之形(ふうしんのかた)
  • 空理之形(くうりのかた)
  • 己識之形(こしきのかた)

形練習にあたって

古くから「先んずれば人を制す」といわれ戦いにおいて先を取ることが、有利であるにもかかわらず、武術の形は、すべて防禦技である後手の技からできている。それは、先手の有利はもちろんであるが、後手になっても、なおこの通り勝つことができるという技法を示すためである。  防禦は相手の攻撃を、完全に阻止するものでなければならないが、防禦できてもそれが精一杯というのでは、勝つことはできない。
 攻撃に対して防禦が完璧であれば、反撃する余裕がでてくる。
 先に攻撃せよといわれても、強い相手に対したときは、攻撃することができない。それは相手からの攻撃を意識するからである。相手攻撃を恐れなくなると、先制攻撃は行いやすくなる。この意味からも防禦技術は、形練習によって十分会得せねばならない。

About Protective Gear防具について

防具を装着して自由に撃ち合う。この中に技術の変化を学び、体力を練り気力を養う。そして個性に合った技法を体得する。ここに拳法の武道・格技スポーツとしての行き方がある。
防具は、人体のうち最も大切な箇所(急所)を加撃から守るために着用する面、胴、股当と攻撃手拳ならびに足を保護するグローブ、シューズから成り立っている。
防具を装着したとき、よく合っているかどうかは戦力に大きく影響する。面はよく顔に合い、グローブは握りやすく、突き指などすることのないように調節することが大切である。
防具はわれわれを鍛えてくれ、これによって競技ができる。考え方によれば生命の恩人である。大切に扱わなければ上達は望めない。

形練習にあたって

  • 01

    あごから入れ、紐は下段の面金具に通し、引っかけて強く締める。次に後頭部で交叉させ、上段の面金(または乳革)に引っかけて、ゆるまないよう締める。下から上へと紐を十字にするとき、耳あてに紐がかからないよう注意が必要(撃たれたとき、組みついたとき外れて緩むもとになる)。最後に面金中段にかけ、背後に回して強く結ぶ。なお「あご当」は普通のタオルを使用しているが、衝撃を柔らげるため、薄い布に上質の綿を接着させることも一つの方法である。視野を大きくすることも肝要。

  • 02

    胴紐の交叉点を正しく背中の中央に位置するよう、左右乳紐を引き合わすときに注意し、後ろで交叉した紐は、両側垂れの下を通し、前垂れの上部、胴との間にあるみぞの上にて交叉させ、再び両側垂れ下を通して背後中央にて堅く結ぶ。結んだ後の紐を余らせないようにするとは、股当の場合と同じである。

  • 03グローブ

    手首を生かせるよう紐を巻くことが大切である。紐の結びは外側ですること。内側で結ぶと解けやすい。練習前に紐に水を含ませると結びが堅くなる。また強打者はバンテージを巻くようにして手の甲の部分と、第三間接部、手首を保護しなければならない。当て箇所は面金、胴(ファイバーに皮張り)であることを銘記すべきである。なお、グローブは左手から着用すること。

  • 04股当

    左右の紐を均等に後ろ縦帯に通し、交叉点を左手で持ち、左、右と両脚を両側に入れ、股間まで引き上げて締める。紐が下腹部を交叉するときは、できるだけ下から引き上げるように締め、紐の最後は背後で余りをなくし、しっかりと結こと。股当は練習時は下衣の上から着けるが、競技大会には下衣の下に着けるものとする。

  • 05シューズ

    道場や競技場の床面に合わせて、スベリ止めの適正をはかることが大切である。

  • 防具の着脱股当以外は坐るか、腰を掛けて行う。

    防具の置き方胴を立て、その内側に股当、面、グローブの順に置く。

防具の手入法

防具は風通しの良い日陰でよく乾かすこと。特に面は汗を吸うと暖衝力がなくなるから危険である。グローブは詰め物の多少や片寄りが拳を痛める原因になるので、保革油を塗布し、型崩れがないようよく注意する。

階級章

有段者は黒帯の着用と、上衣の両そでに付けた黒線で示す。黒線は初段、二段は1本、線幅1.5cm~1.7cm。三段以上は2本、線幅1.0cm。ともに袖口より5cm離して縫い付ける。有段者は内規にて示す。

むすび、むすぶ

”結び”が身のまわりから急速に減ってきている。洋式生活になって和服もめったに着なくなった。荷物も紐て結ぶよりも、紙袋に入れて粘着テープでとめることで用が足りる。子供のズック靴も、ワンタッチではける面ファスナーが幅をきかせている。粘着技術の発達で、確かに生活は便利になったが一方で手先の器用さを奪ってしまう。拳法の防具は、紐で結ぶところが多い。子供のときから結ぶ機会が少なくなっているから、上手に着けられない。また、結び方が悪いから、すぐゆるんでくる。試合のときには、テープで留めているのを見かけるようになった。この点から、防具改良案も出るこの頃である。”むすぶ”の邦語は、群統である。相対したものを統一して、より一段高次な価値に進めることをいう。われわれが己を空して己を忘れ、己を擲って、偉大なる感激の対象に生きることが”むすび”である。手は脳の出張所という。子供たちが手先を使わなくなったこと。今から二、三代先はと心配する人もいる。

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