大会会長ご挨拶(平成29年度 日本拳法優勝大会 パンフレットより)

平成30年度日本拳法優勝大会の開催にあたり、ひとことご挨拶の言葉を述べさせていただきます。

優勝大会は、その年の締めくくりの大会であります。試合参加者である皆さんにとってはそれぞれの日頃の練習の積み重ねを証明し、その成果を観せるという意義のある場であります。拳法に対する思いは練習生によって異なるものがあるでしょうが、自己の人間形成に大事なものを日本拳法の練習を通じて学びたいというのが共通認識であることは間違いありません。拳法修業のきっかけを考えてみると、何となく勧められて、あるいはひょんなことからスタートしたなど、色々ありますが、止めずに長く続けられている人は後から振り返ると、そこに何かの縁があったことに気が付くかもしれません。

我が士道 森 良之祐 日本拳法は故 森 良之祐 最高師範が創案集大成された、日本拳法諸形の伝統を継承しそれを研鑽錬磨し世に広めて行くことを目的とした日本拳法唯一の正統派団体であります。

故 森 良之祐 最高師範の師である、澤山 宗海 先生の著書「日本拳法」(毎日新聞社 昭和39年)の16頁に武道と礼について以下の様な記述があります。

「武道入門の常法として、技術を修めるに先だって、まず礼をわきまえることの要が強調される。」さらに「礼は、また人間本性の現れでもある。これを育成することなくして、人間形成はできるはずがない。文武を問わず、いかなる学術、技芸においても、礼を伴わなかったならば、それは『道』ではない。たとえ、いかに学術に優れ、技芸に長ずとも無礼では、教養をつんだとも、文化を築いたとも言えない。ことに武道にあっては、礼を去れば、あとに格闘殺傷の技術が残るのみ、粗暴になるのは必定である。」「武道には古くから『武は礼に始まり礼に終わる』との厳訓がある。日本拳法を修めんとする者は、まずもって、礼に篤きことを心掛けねばならない。」と拳法修業には、礼なくしては、成し遂げられるものではないことを説いています。礼儀正しいことは見ていて気持ちの良いことであり、人間性の尊さに帰結する行為です。

本日は「礼」とは何かをかみしめながら、正々堂々と試合されんことを希望します。

日本拳法協会理事長・法学博士 福田 守利

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